【デマ】「ロックダウン」をめぐる”それっぽい”情報メール騒動の舞台裏

コラム

感染拡大に歯止めがきかない新型コロナですが、都内ではいつ「ロックダウン」が発令されるのか、皆が不安に感じています。

特に都内の1日あたりの感染者が初めて40人を超えた3月25日、小池都知事が「重要局面」と危機感をあらわにした会見以降、一気にその不安は増大しました。
会見直後からスーパーでは「買いだめ」が発生し、欠品が相次ぎ、翌日、私が買い物に出かけた時は、朝から人でごった返し、肉、魚、卵、野菜、なぜか納豆がすべて棚から消えていました。高級な和牛だけ残っているのを見て「ほんとに困っているわけじゃないじゃん…」と思わずひとりごちましたが。本当にお腹すかして物がないならば、高級だろうがなんだろうが、すべて無くなりますからね。

ちなみに、もう少し離れた同系列のスーパーを覗いてみると、そこには納豆がたんまり。でもハムとソーセージが欠品していました。おそらくですが…残りわずかとなると、不安になり、みな我先にと買い求めてしまい、その品だけが欠品する、という状態になるんでしょうね。

そして、迎えた週末。3月28日の安倍首相の会見直前に、友人からLINEがきました。

「このあと総理会見があり、ロックダウンを表明する、と聞いたんだけど本当?」

キー局の報道で仕事をしている私の元には、通常、そのような重大なニュースが予定されている場合は、必ず連絡がきます。

まさか、メールを見落としたか、と遡って見ても、そのような「連絡」は一切ありません。むしろ淡々と通常業務が執り行われていました。

その人にきた、というLINEを転送してもらうと、そこには「テレビ局の関係者から聞いた情報」として、長々とそれらしい情報とともに「総理が18時の会見でロックダウン表明」「期間は3週間」などと記されていました。

僕は「まったくそのような話は聞いてない。もしそうした情報が入っているならば、スクープとしてどこかしらの社が報じる。ただし、ロックダウンがいつおこってもおかしくない状況には変わりなく、それは小池都知事がすでに会見でいっていて、格段新しい話ではない」と伝えました。

そして始まった総理会見。皆さん後存知の通り「ロックダウン」や「緊急事態宣言」はありませんでした。

これで収まったかと思いきや…翌日から、がんがん友人らがLINEがきます。私がこうした仕事をしていることから、これは本当なのか?と一様に聞いてきます。ほぼ同じ内容のものです。曰く「月末に発表すると決算に影響するから、財務省が反発し、発表は4月1日」「3月31日に法案処理の参院本会議、4月1日に決算委員会、4月2日に衆院本会議があるからそれ以降」など、普段生活している人たちからは遠い世界の言葉を散りばめ、それっぽい雰囲気を作り出し、ロックダウンはもうすぐ発表されると不安を煽る内容です。

「憶測」や「想像」の域を出ないもので、なんら確たる証拠があって断言した物ではありません。

私が不安を感じたのは、それが、次から次へといろいろな人から問い合わせがきた挙句、同業者からも聞かれたことでした。面白いのは情報ソースが「経団連の人から聞いた」「テレビ局のひとから聞いた」「製薬会社の幹部から聞いた」など、”それっぽい情報”がありそうなところが「情報源」となっていることです。

そうした問い合わせに対して「都知事や、総理、政府高官など一次ソースから直接得た情報以外は信じないこと。それができないのだから、我々テレビ局や新聞社、通信社の記者が日夜、取材活動を通じ、きちんと裏取りした上で報道している。だから、このような不確かな情報は信じるに値しない」と答えました。

しかし…一方で、世間がこうした「憶測メール」に不安を感じているのは事実。これだけの数の問い合わせが自分の元に集中している、ということは、とんでもない数のひとたちがこの「愉快犯」的なメールに不安を感じているのだろうと思い、翌日のニュース番組で、菅官房長官の定例会見で「そのようなことはない」との公式見解を得た上で、政府が「明確に否定した」という内容の報道をしました。ちなみに、その後、安倍首相が「デマ」とも明言しました。

それでもなお…その翌日、ヤフーニュースのラインナップをみていたら、今度は署名記事が。出回ったのと同様な内容のものを、署名記事として書いている人がいました。

もちろん、憶測や想像は自由です。しかし、改めて問いたいのは、その記事を執筆した人物に執筆料が入る以外、誰が得をするのか。

ロックダウンが発令されたとしても、食料がなくなるわけではありません。物流が止まるわけではありません。現に、世界中見渡してみても、コロナ騒動により餓死した人は誰一人いません。

でも、その「もっともらしい」憶測記事により、どれだけの人たちが不安に陥り、そしてどれだけの人たちに迷惑がかかることになるのか。

政府の肩をもつわけではありませんが、ロックダウンや緊急事態宣言に関しては、複雑な要素が大いに絡むもので、すべての状況をかんがみた上で発令されることでしょう。単純に、感染者が何人になったから、とか、死者がどのくらい増えたから、と数値で表せるものではありません。もちろん、経済に多大なる損害が生じる事態を避けたいという思惑は当然あることでしょう。ただ、そうした思いも要素のひとつとしてあるからこそ、どうにか「ロックダウン」のような非常事態を避けるべく、医療体制を確保するようにしたり、さまざまな形で自粛要請をしているのです。

このまま感染が拡大し、「オーバーシュート」と呼ばれている感染爆発があちこちで発生したら、もちろんロックダウンの可能性も大いにあります。

でも、それは当然のことであって、なにも新しい話ではありません。

不安になるのは仕方ない。ただ、「デマ」や「憶測」っぽい情報がきたときには、どうか冷静に立ち止まって、過去にどのようなそうした「愉快犯」がいたのか、考えて欲しいのです。

そしてもうひとつ。そうした署名記事を書いているひとたちの名前を忘れないで欲しい。必ず同じようなことをするから。来週になり、振り返ってみたらいいのです。そこに書かれていたことが、どこまで本当だったのか。

 

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