妻のチュウ丸と出会ってから、もう15年以上。
彼女の口から下ネタを聞いたことは一度もない。
しかし、最近、やたらと「うんこ」を連呼する。
すべては「うんこドリル」のせいだ。
朝ごはんがおわったら、娘のチビ丸に
「うんこドリルやりなさい」
「うんこドリルもう1ページやる約束でしょ」
そのドリルが終わると…
「あ、パパ、本屋行くの?うんこドリル買いたいから一緒にいく」
娘も娘だ。
問題を音読するものだから、きょうもうちのリビングに「うんこ」がこだまする。
「うんこのかずをかきましょう」
「うんことおなじかずだけいろをぬりましょう」
これくらいはまだいい。「こくご」に至っては最悪だ。
「うんこまみれののぼりぼうが7ほん、ふつうののぼりぼうが9ほんあります。ぜんぶでなんぼんありますか」
公園ののぼり棒にうんこを塗りつけるのは、絶対に何らかの犯罪である。
「職人がねんどでうんこをつくっています。とけいにながいはりをかきましょう」
もはや、この問いにうんこは関係ない。
彼女たちの会話を聞いていて、最近思うのは、こうした問いかけに「うんこ」は関係あるのだろうか、ということだ。
最近の子たちは「うんこ」が問題にないとそんなにモチベーションがあがらないのか?
とはいえ…何年も前にとある絵本に出会ったことをおもいだした。
まだチビ丸が1才くらいだったころ。銀座のデパートで二人がトイレにいったときに、たまたま本屋さんのフロアだったこともあり、そのトイレのすぐ近くにあった絵本に手をのばした。
その絵本のタイトルは「うんこしりとり」
「こ」でひたすらうんこのしりとりをする絵本だ。
こどものうんこ→こうちょうのうんこ→こっそりうんこ→こおったうんこ
とひたすらうんこにまつわる言葉が続いていく。
不覚にも…爆笑であった。こんな傑作が世にあるなんて…つぎはどんなうんこなんだ?どんどんページをめくってしまい…絵本を読み終えたときは…私の頭のなかに、次々と「こ」から始まる「うんこ」のアイディアが閃いていた。
まだチビ丸はひらがなが読めないのに、私はその場でその絵本を買ってしまった。
そうか…うんこって、やっぱりモチベーションがあがるんですね。
おそらく…うんこって、数ある下ネタのなかで、唯一、男女平等に市民権を得ている下ネタの単語なんではないだろうか。ほかの単語は、ここでは記さないが、たぶん、公の場でいうことは大いにはばかれるけれど、うんこだけは、なぜか許されている。でも、グレーゾーンだからこそ、面白い。大声で叫んでも、ほかの単語に比べたらそこまで恥ずかしくない。だから子供たちは連呼する。そしてそれが笑につながる。
それがなぜか…いまの時代は、勉強のドリルにつながった。
どこかの大人が「子供の笑い」を手玉に取り、勉強へとつなげたのだ。そう思うと、よく考えたな、とも思えてきた。
でも、やっぱり…何だかなぁ…来年、小学校にあがったとき「うんこ」がなくなっても、彼女はきちんと勉強ができるのだろうか。不安である。
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